熱中症と脱水に気をつけて
クォリーヴァ 主宰 管理栄養士
地中海食研究家 貴堂 明世
2024年は10月まで真夏日が続く記録的な猛暑となりました。総務省の発表では熱中症による救急搬送数は97,578人 注1)と過去最も多く、前年より6,111人も増加したそうです。熱中症の死亡者の86.3%は65歳以上の高齢者 注 2 )で、死亡率が高くなっています。これは気温が高い時期でも体温の上昇が感じにくく、発汗能力が衰えて体を冷やすことができなくなる傾向があるためです。暑さを感じなくてもエアコンを適切に使用する必要があります。さらに、高齢者は体内に水分を蓄える筋肉量や代謝に伴う水分量が成人より減っているにもかかわらず、喉の渇きを感じにくく、脱水状態にも陥りやすいのです。他にも頻尿、体調を崩しての嘔吐、下痢、利尿薬の影響、腎機能低下による水分排泄量の増加など多くのリスクを抱えています。喉が渇いてから水分補給していては手遅れになります。もしも食事量が減っていたら、食事中の水分も電解質摂取も減っています。流動食の形態でも十分補うように努めましょう。
それにしてもどれくらいの水分量が1日に必要なのでしょうか。個人差や環境によりますが、60歳以上の男性平均で1日に2.3~2.5ℓ、女性で2.1~2.3ℓ摂取していたという調査結果が参考になります 注3)。3回整った食事がとれていれば食事中に約1~1.5ℓの水分が含まれるでしょう。残り1ℓを食事ごとのお茶、お水や食間で積極的に補うようにします。運動、発熱などで体温が1℃上昇している場合は、コップ1杯の水分が追加で必要となります。それでも緊急時以外はスポーツドリンクや清涼飲料水など砂糖入りの飲料の補給は多くてコップ1杯程度にしておきましょう。毎日何ℓも飲み続けて秋に糖尿病を発症してしまう方もおられます。何事も適量が大切です。
注1) | 都道府県別熱中症による救急搬送状況(累計)速報値 令和6年4月29日~10月6日(速報値)総務省 https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r6/heatstroke_sokuhouti_20240930.pdf |
注2) | 「人口動態統計」熱中症による死亡数 2022年のデータ 厚生労働省 |
注3) | 「日本人の食事摂取基準2025年」 <参考>水のデータ 厚生労働省 |